女王への謁見について

女王への謁見

西暦一六〇〇年、エリザベス女王六十六歳。
イングランド国内は、親子ほども年の離れた若い伯爵と女王との愛憎劇で揺れに揺れていた。
蜜月が終わるや、エセックス伯が反旗を翻したのだ。
子爵家の令息マーティンが宮廷に呼び出されたとき、彼は自分の身に何が起こったか、まったく見当もつかなかった。
しかしエセックス伯との関係を問われ、あらぬ疑いをかけられていることに気づく。
兄の謎めいた死、父への恨み……マーティンは過去への探索に乗り出す。
母の死による残務整理をするため、イブはグランド・スプリングスに帰省した。
慣れない雑務に追われる中、ある男性が訪ねてきた。
リオ・レッドトリー――六年前イブがすべてを捧げて愛した人。
町を去ったとき、なんの連絡もよこさなかった人。
以来イブはひとり傷心を抱えて生きてきた。
今さらなんの用だろう?彼は、母の死についての記事を書くため、取材しにきただけだという。
冷ややかな彼の瞳を見据えながら、イブは再び傷ついていた。
マーセデスは父にひどい仕打ちをされた経験から、人を愛することはしないと心に決めていた。
親友のジャレドがいれば生きていける。
ある日元恋人に金目当ての結婚を強要され、思いあまったマーセデスはジャレドに相談した。
「結婚しよう」予期せぬ彼の提案に驚きながらも、最善の策だと自分を納得させ、彼女はうなずいた。
親友の彼となら仲よく暮らせるだろう。
だが、思わぬ誤算が待ち受けていた。
マーセデスは花婿に恋してしまったのだ。
敬愛していた上司の殉職を目の当たりにし、警察官のマーシーは心の傷を癒すために、フォーチュン一族のグラントが営む牧場に身を寄せることとなった。
十二年ぶりでグラントに再会すると、彼に幼い恋心を抱いた少女のころがよみがえる。
彼は昔よりもさらにたくましく、セクシーになっていたけれど、彼女を邪魔者扱いし、都会の女に対する嫌悪感を隠そうともしない。
マーシーの気持ちは沈んだが、気に病むのはやめた。
彼のもとに滞在するのは、ほんのしばらくの間なのだから。
リアダンは家政婦として大きな屋敷に住み込みで働くことになった。
主であるエイドリアンは有名なミステリー作家で、隠遁者のような生活を送っている。
横柄で気難しい彼の言動に戸惑いながらも、心の奥を垣間見たいという思いが募り、リアダンは惹かれていくのを止められなかった。
だが、その思いはのちに手ひどく裏切られることになる。
エイドリアンが求めているのは彼女の愛などではなく、家政婦と愛人としての役割だけだったのだ。
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